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土田浩翔プロ 特別書き下ろしコラム
14人の師

土田浩翔(つちだ こうしょう)
第11、22期鳳凰位・第22、23期十段位、第26期王位/他多数
著書「土田流麻雀 仕掛けを極める」
「最強麻雀土田システム」
「麻雀が強くなるトイツ理論」

第十七打 「トイトイ スタイル」 2014/5/28

一萬一萬六萬七萬七萬二筒三筒三筒五筒七筒九索九索白白

6巡目、ドラは二索です。

ここから二筒切り。

『フムフム、チートイツのイーシャンテンに受けるんだ。でも二筒を切るくらいなら、六萬七筒から処理する手もあるのにな…』と見ていると、下家が切ってきた1枚目の一萬に「ポン!」の声をかけているではありませんか!?

六萬とし、すぐに九索もポン、打七筒

七萬七萬三筒三筒五筒白白九索九索九索一萬一萬一萬

ほどなく白もポン出来て打五筒七萬三筒のシャンポン待ちトイトイテンパイとなりました。

同巡、親からリーチがかかり、最初に引かされた牌が五萬。もちろんノータイムでツモ切りすると「ロン!!」

三萬四萬七萬八萬九萬二筒三筒四筒一索二索三索八索八索

親満の献上となったわけですが、初心者の頃を思い出せば、よくこんな光景に出くわした記憶が皆さんにもあるはずです。

少しキャリアを積んだ打ち手ならば、ポンしにくい尖張牌の七萬三筒を抱えたトイトイ仕掛けにムリがあることはすぐに理解できるわけで、ましてやチートイツのイーシャンテン手牌。トイトイ狙いで一萬をイチ鳴きしていく打ち手は皆無に近いのではないでしょうか。

もちろん、先に挙げた手牌から、打二筒とはせず、打七筒なり打五筒としておいて、一萬をイチ鳴きする局面はあるでしょう。

一萬一萬六萬七萬七萬二筒三筒三筒五筒九索九索白白

ここから一萬ポン打五筒白をポンして打三筒とする仕掛けです。

六萬七萬七萬二筒三筒九索九索白白白一萬一萬一萬

なりふりかまわず親を落としにいきたい時とか、どうしても連荘したい親番などで、このような仕掛けを入れるケースはあるかと思います。もしかするとアガればトップのオーラスでもあるかもしれません。

もう1度最初の手牌に戻ります。

一萬一萬六萬七萬七萬二筒三筒三筒五筒七筒九索九索白白二索ドラ

私はここから七筒を切ります。

二筒が重なれば五筒待ちで、五筒が重なれば二筒待ちスジトイツリーチをかけます。

でもその前に尖張牌の七萬三筒が出てきたら「ポン!」の声をかけます。

狙いはトイトイ。

チートイツイーシャンテン手牌から、ポンをして手牌を短くし、更にはシャンテン数が1から2に戻ってしまう一見すると筋悪な仕掛けに見えるでしょうが、リスクは百も承知でトイトイを狙っていきます。

チートイツであれば、ドラが無くてもリーチをかけてツモって裏ドラが乗れば、ハネ満に大化けする魅力があります。

でもトイトイは、仕掛けてしまえば見えている役の数しか得点は伸びず、しかもポンする度に手牌が短くなるリスクがあります。

にもかかわらず、マンガンすら望み薄のトイトイを狙う意図はどこにあるのか?不可解に思う方は多いかもしれません。

ホンイチもそうなのですが、〈役牌〉がトイツで入ってる手牌(複数なら文句なしに)は、動いて動いて仕上げていく感覚が大切なのでは?と私はいつも考えています。

仕掛けを入れると、多くの場合、和了点は下がり、放銃の危険性が増すと思われがちですが、ことトイトイとホンイチに関しては別のものと考えたほうがいいのです。

手役の性質と言い換えてもいいのかもしれませんが、役牌も同じ性質であり、メンゼン役では無いというところに、立ち位置の違いを自覚しながら打ち進めたほうがいいと私は考えています。

一萬一萬七萬八萬八萬一筒二筒二筒七索七索八索発発六索ドラ

親番でこの手牌になったのが6巡目。

チートイツのイーシャンテン手牌ですが、発をポンしていく打ち手も多いように思います。

ただし発をポンしての打牌は七索が圧倒的かと思われます。

一萬一萬七萬八萬八萬一筒二筒二筒七索八索発発発

こうしておけば、一萬二筒が比較的早くポンできて、ススス〜ッとアガりに近づけるような気がするからです。

でも私はこの手牌から発をイチ鳴きする気にはなれません。

発をイチ鳴きするくらいなら、まだ手牌をチートイツのイーシャンテンに留めておいたほうがいいと考えるからです。

手中にあるトイツは、一萬八萬二筒七索、そして発で、ポンしやすいトイツはヤオチュウ牌である一萬発。次にポンしやすいのは、2・8牌である八萬二筒七索は、数牌の中では一番ポンしづらい尖張牌です。

整理すると、ポン材のAランクが一萬発、Bランクが八萬二筒、Dランクが七索ということになります。

ちなみに、ドラとドラ表示牌のトイツはEランクとして扱います。

注:この手牌においてはCランクとEランクのトイツはありません。

トイトイ役を仕上げるとき、大切な指標と申しましょうか、ポンポンしていく際の〈初動牌〉に要注目です。

そしてアガりに近づけるコツは、〈初動牌〉にCランク以下(C・D・E)の牌を選ぶこと、これに尽きます。

一萬一萬七萬八萬八萬一筒二筒二筒七索七索八索発発六索ドラ

この手牌からトイトイを狙うときは、Dランクの七索から初動をかけることです。

もし七索が出てこないうちに、発が2枚出てしまったら、発のみの仕掛けでもいいからと考えて動くのは危険で、チートイツに切り替えたほうが無難です。

役牌さえ確保しておけば、後はどうにでもなる形に見えるかもしれませんが、トイトイを伴わない役牌仕掛けは、シュンツが手中に無いと失敗しやすいと心得ておくことです。

ではこの手牌はどうでしょう。

四萬四萬六萬七萬八筒九筒九筒二索二索東東中中八萬ドラ

東場の親、5巡目のものです。

〈初動牌〉は何にしますか?

『何をワケのわからんこと言ってるんだ。ダブ東はもちろんのこと、中にも初動をかけるし、四萬二索、時には九筒にだって初動をかけるわけで、質問になってないのでは??』と言われてしまいそうです。

連荘という大きな目的をもって臨む親番においては、初動をかけた後、相手がポンしたい役牌を押えたとしても、それはそれで相手の手が止まって連荘しやすくなるのだから問題はないと考えがちです。

でも手牌は大物手の様相が漂っています。

ポン材をランク分けしてみると、Aランクが九筒中。Bランクが二索東(ダブ東なのでAランクというわけにはいかないでしょう)。Cランクが四萬ということになりますから、できることなら四萬を〈初動牌〉に選びたいものです。

ドラが八萬なので、Cランクの四萬を外して、東中に頼って打っていく方も多いかもしれませんが、Bランク以上が4種もある手牌を役牌のみに収束させてしまうと、たとえアガれたとしても、運量が減ってしまうと私は考え、トイトイを狙っていきます。

Aランクの九筒中には初動をかけず、できることなら四萬から、それが無理ならBランクの二索東から初動をかけ、きっちりとトイトイを仕上げていく、それが私のトイトイスタイルなのです。

九筒九筒中中二索二索二索東東東四萬四萬四萬

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